AFPLAブログ

東大・北京大・復旦大・ソウル大の政治学を専攻する学生によって運営されるAFPLA(アジア政治学学生協会)東大支部のブログです。

前代表からのメッセージ

新入生のみなさん、サークルオリや国際交流系サークル合同説明会にお越し頂きありがとうございました!

新入生の方々の応募方法はこちらになります。ぜひぜひ奮ってご応募ください!

 

さて、今日はAFPLAの前代表から新入生の皆さんへメッセージが届いています。少し長いですが、とても熱いメッセージとなっているので是非最後まで読んでみてください!

 

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はじめまして。

 

新入生のみなさま、ご入学おめでとうございます。数多あるサークル・学生団体のなかからAFPLAに興味を持っていただきありがとうございます。

 

新歓にあわせてメッセージを寄稿してくださいとお願いされたのですが、私は次のフォーラムの運営に関わっているわけではない一卒業生でありますので、AFPLAご興味を持たれた方はまず現代表の河崎さんによる意気込みをご覧いただくことにして、私は極めて個人的なAFPLAの思い出を書きたいと思います。

 

申し遅れましたが、私はこの春に法学部を卒業し、今は新聞社で働いている今堀祥和と申します。 

私とAFPLAの関係は、2012年2月に東大がホスト校となって開催された東京フォーラムに、ひょんなことからいきなり東大”代表”として初参加したことに始まり、2012年8月の上海フォーラム、2013年8月のソウルフォーラムと三大会続けて実質的にはともかく、形式的には代表を務めてきました。今夏に開かれる北京フォーラムに向けた運営会議が2013年10月に開かれたのですが、4月からは働くことになっていたのでフォーラム自体には参加できないにも関わらず、他校のメンバーに会いたいがためにのこのことついて行ってしまうなど、思い返すと大学生活の後半はずるずるとAFPLAに関わってきたなあという感慨(?)があります。(これまで最多参加者の一人だったのですが、北京フォーラムの運営に今年も関わることになったKという男に参加回数で抜かれてしまい少し悔しさを感じています笑)

 

私が長年AFPLAに参加してきてよかったと思うことの一つが、中国韓国台湾(に限らずどこの国でもであるはずですが)の若者をイメージやステレオタイプで捉えてはいけないという当たり前のことに気がつけたことです。

そもそもAFPLAに参加することにしたのは、東京フォーラム時に「ナショナリズムの古典を読む」という分科会が設置されていて、中韓の学生が日本や互いの国について実際のところどのように感じているのかを出来るだけリアルに知りたいと思ったからです。正直に申し上げると、私は中国韓国の若者は日本に対しては(かつての加害国としてか、今のライバルとしてかはともかく)敵愾心を、自国に対しては強い自信をもたせるような教育を受けていて、良くも悪くも政治的に敏感でヒートアップしやすい人たちだというイメージを持っていました。みなさんの中にもそういう印象を持っているひとがいるかもしれません。

 

最初にそれが思い込みなのではないかと思ったのは、東京フォーラム中に北京大の男の子とソウル大の女の子を明治神宮の観光案内に連れて行った時のことでした。明治神宮の入り口に、戦国武将の絵が書かれた巨大な絵馬が掲げられているのをみたゲーム好きの彼は『信長の野望』の話を切り出し、こともあろうか「一番好きな武将はトヨトミヒデヨシだ。だってクールだからね。」と言い放ったのです。私が恐る恐るソウル大の女の子の方をみると、彼女は苦笑しつつ「自分の国ではめちゃくちゃ重大なこととして教えられていることなのに、国が変われば全く知られていないという事実は驚きであるけど面白いね」と冷静に分析していました。(その後彼には豊臣秀吉と韓国についてくどくどと説明しました。)

とは言え彼女が気を損ねたのではないかと危惧していたのですが、それも杞憂でした。当時天皇陛下が冠動脈のバイパス手術のため東大病院にご入院されていて(本郷も物々しい雰囲気だった)、明治神宮の本殿にもお見舞い記帳が設置されていました。彼女にこれは何かと聞かれ、入院している天皇の快復を祈願するためのものだと答えると、自分も書いていいのかという質問が返ってきました。私は韓国の人が天皇陛下への記帳をしたいと思うとは露ほども思っていなかったので、咄嗟に「君がよければ」と残念な答え方をしてしまったのですが、綺麗なハングルで記帳をする彼女の姿は今でも強い印象として残っています。

 

上海フォーラム開催時にはちょうど北京オリンピックが開催されていて、夜ソウル大のメンバーの部屋でサッカーの日韓戦を見る機会がありました。中国のテレビ局ではその試合を放送していなかったので、パソコンを使って韓国のテレビ局で放送されている番組をインターネット経由で見ることになりました。韓国の放送なのでもちろんCMも韓国のものであり、そのほとんどがオリンピックに関連した愛国心をくすぐるようなCMだったのですが、あるソウル大のメンバーが「僕はこういうナショナリスティックなCMは好きじゃないんだよね」とぼそっと言ったことが記憶に残っていました。

今年の冬、ソチオリンピックのニュースをみているときに、キム・ヨナ選手を起用した愛国主義的メッセージが強すぎるCMが韓国国内の批判をうけ放送中止になったというものを見つけ、彼の言葉を思い出しました。おそらく二年前にはそのようなCMに対して批判的な視点を持つ人は少なかったのではないかと思うのですが、今ではそういう客観的な見方も広がっていると感じました。

 

 ソウルフォーラムで出会ったソウル大の一年生は、安部首相の『日本を「取り戻す」』という力強い主張には共感するところがあり、韓国の政治家もああいうふうになればいいのにと言っていました(これを聞いた時若干焦りました)。台北中の大学で政治学を専攻する大学生たちを束ねる学生組織のトップにいる台北政治大学の四年生は、台湾と中国との新しい貿易協定に反対する学生たちが議会を占拠し紛糾する中、(セクシーレストランである)HOOTERSに行ったという写真をfacebookにあげています。

 

とりとめのない私の思い出(しかもAFPLAそのものとはあまり関係のない)を書き連ねましたが、何が言いたいかというと中国・韓国・台湾の学生も日本の学生と同じように素朴なものの考え方をしているという当たり前の事実があるということです。(もちろん違う部分もあり見習うべきだと思ったこともたくさんありますが。) 

歴史問題に関して、もちろん過去の悲劇を教訓にするため語り継いでいくことは極めて重要なのですが、それと同じぐらい過去に囚われすぎず新しい関係を築いていくことも東アジアの未来にとって大事だと思っています。中国韓国には新しい考え方をもった人たちが確実に広がっているように感じられます。彼ら彼女らと協力できれば東アジアの将来は明るいだろうし、逆に中国韓国の(多くの)人たちはなんだかんだ日本のこと嫌いなんでしょなどと思う若者が今後も多くいれば、日本としては足元を掬われることになるかもしれません。

 

東大メンバーと話していた時に出てきたAFPLAのよさの一つに、東大・ソウル大・北京大・復旦大という東アジアの有力校の学生から成り立っている組織ではありますが、変なエリート意識がなく素朴な意見をぶつけあい、本音で語り合えることが許されている環境であるということが挙げられます。外圧もありません。また複数回参加者も各校かなりいるので、5日間本音で必死に語り合い、また翌年お互いに成長した姿を見せることのできる親友を作ることができることは、この組織の強みです。

 

最後に今後のAFPLAについて。過去の記事を読んでもらえれば分かるのですが、ソウル大と北京大の学生たちによる交流団体として始まったAFPLAが、東大にも拡大することになった時に声がかかったのが法学部政治コース(第三類)の学生組織である三類懇親会という本郷の団体であったことから、上海フォーラムの頃までは東大からの参加メンバーは三四年生が中心でした。しかし他校のメンバーに一二年生も多いことや、運営の引き継ぎをより円滑にしたい(”前代表が大会半年後には卒業してしまう”問題を抱えてた)ことから、私がAFPLAに対してできる最後の仕事として、AFPLA東大運営陣の強化と若返りを進めてきました。今年の運営陣は三年生×1、四年生×2、五年生×1で、強化の面はともかく若返り計画はそこまで上手く行っていないんじゃないか疑惑もありますが(笑)、2年前の上海フォーラムに一年生として初参加し、去年のソウルフォーラムでは副代表を努めてくれた河崎さんが、今回ついに代表となってくれたことには感動も一入です。

今年AFPLAに入っていただく新入生は、順当に行けば2015年に開催される予定の東京フォーラムに、主要運営メンバーとして関わっていただくことになります。AFPLAは参加するだけでもとても面白いのですが、100人以上の参加者を迎え入れる国際イベントを一からつくり上げることは得難い経験になるはずです。時間的余裕が一番ある二年生時に生え抜きの中心メンバーとして関われることが約束されている今回の新メンバー募集は、実はかなりお得な(?!)機会なんじゃないかと思っています。

 

少しでも興味を持たれましたら是非説明会に足を運んでください。参加されることになった場合には、大会に向けた準備期間中の中間発表会や交流会などの機会でお会いできることを楽しみにしています。

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